雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

頑張った日に限って。

今日は頑張ったと思ったときほど、頑張れと言われる。 どうしてなのだろう。 この頑張りが伝わらないなんて。 あなたのために頑張っているわけではないけど、寂しいもの。 そんなことはしょっちゅうあるから慣れているでしょう、なんて言われてもいつまで経…

私なりの涙の出し方。

どのくらい泣いていないのか、自分でもわからない。 泣いたことはもちろんあるけれど、どうして泣いたのか思い出せないくらいに前のこと。 泣かないことはからだに悪いと聞いたから。 どうにかして涙を流したいと考える。 泣けると評判の映画を観る。 泣けな…

染まる色、朝昼夜。

朝はまだ冷えるから、頬がピンクに染まる。 指先に息を当てて、ホットの缶コーヒーを買う。冷たい頬に当てたら熱すぎて嫌になっちゃう。 昼は騒がしい町に飲み込まれる。 音や匂いに支配されて、見たものすべてに染まっていく。私は白くないのに、いろんな色…

ハッピータイムを探してみたら。

一日ずっとハッピータイムだったらうれしいけれど、そんなことはないから探しに行く。 いつがハッピータイムなのか。 ごはん食べている時。 おしゃべりしている時。 洋服選んでいる時。 眠っている時。 何も考えていない時。 いろいろ考えている時。 どうし…

本当の願いはただひとつ。

願わなければ叶わない。 素敵だけど寂しいね。 願わなければ叶わない。 そりゃそうだよ。 願っていないことが叶ったとしても、願いが叶ったと思うことはないんだから。 本当はいろんなことが叶っているのに、それに気づかないなんて寂しすぎるでしょ。 だか…

人をダメにするやわらかいところ。

もう立ち上がれない。 こんなにやわらかくて居心地が良いところから。 やわらかすぎて立っているほうがしんどくなって、座り込んだり寝転んだりしたらもうおしまい。 一歩も動きたくなくなる。 動かなくちゃと思ったところで、からだが拒否する。 こんなにや…

私のものは私のもの。

私のものは私のもの。 ケチだと言われようが器が小さいと言われようが譲る気はない。 安売りしないって決めたから。 少しくらいいいじゃない、なんて通用しない。 ひと山いくらのものじゃない。 オーダーメイドと言っても過言じゃない。 そんな大したものじ…

ゼロとイチの間には大きな隔たり。

イチから出直し。 心を入れ替えて、行動も入れ替えて。 それでも、ゼロではない。 すべてを入れ替えたとしても、ゼロにはならない。 イチとゼロの違いは大きい。 きっとこの世で一番大きい。 リスタートをかましたとしても、ゼロにはならない。 またすべてを…

変えたいのに変わらない。

ああ、めんどうくさい。 わかってもらえなくて結構なんて言いながら、わかってもらえないと不貞腐れる。 なんでもお見通しなつもりでいて、誰かを無理矢理そこに当てはめる。 やっちゃいけないと思いながら、なにかしらの理由をこじつけてはやってしまう。 …

すくえない、見えない隙間、指の間。

すくおうとしたのに。 たくさん、すくおうと。 でも結局、なにも残ることはない。 手のひらが湿るだけ。 手のひらに乗っかった水は、指と指の隙間から消えてなくなった。 一度でどれだけ多くの水をすくえるのか。 そんなことばかり考えていて、いろんな方法…

あっち、こっち、行ったり来たり。

あったかい日と寒い日が行ったり来たり。 左を見上げたら曇っていて、右を見上げたら晴れている。 風が吹くと耳は痛いけど、足元はなんともない。 さっきまで怒っていたのに、今はもう笑っている。 昨日はあんなに楽しかったのに、今日はもうすでに億劫。 明…

半透明人間。

手を挙げてもタクシーは停まらず。 自動ドアの前に立っても開かない。 店員さんに声をかけても誰も来ず。 「びっくりした!」とよく驚かれる。 それなのに。 道を歩いて肩がぶつかったら舌打ちされたり睨まれたり。 私は見えているのか見えていないのか。 中…

ミリ単位、違い、距離。

あなたはとても綺麗な顔をしている。 私の顔とは全然違う。 瞳も鼻も唇も睫毛も。 あるものは同じなのに。 少しばかり配置が違うだけで、こんなに変わってしまう。 私たちは、ミリ単位の世界で生きているから。 あなたのことが気になってしまう。 いつもより…

変わるものと変わらないもの。

友人たちと数年ぶりに会った。 みんな少しずついろんなところが変わっていて。 きっと私もそうなのだろうと思った。 近況報告はそこそこに、あのころの話で盛り上がる。 いつだってそう。 どれだけ久しぶりに会っても、一瞬であの頃にタイムスリップする。 …

間違い探しと正解探し。

あれやこれやと指摘を受けて。 直さないと、正さないと、と思う日々が続く。 気づいたら、いつも間違いを探してばかり。 あれも間違っている。 これも間違っている。 あれもこれも直さないと。 そんなことばかり考えている。 正解を探さないと。 頭ではわか…

別れ際、涙なし、言葉なし、手を振るだけ。

別れはいつしか当たり前になってくる。 昔のように、泣いたりはしない。 いつもすぐそこにあるから。 慣れてしまったのかもしれない。 またいつでも会えるよ。 私は言う。 そんなことはきっとない、と思いながら。 そうだね。 あなたは言う。 思いは私ときっ…

一時停止、虹が見えた。

一旦止まって、左右を確認。 車が来ないか。 自転車や歩行者は? どんなに急いでいても、確認を怠らないで。 急いでいるとき、焦っているとき、余裕がないとき。 視野が狭くなる。 考えが浅くなる。 いつもの自分じゃなくなる。 でも、きっと。 そうならない…

マジメは褒め言葉か否か。

マジメな人になりなさい。 そう言われて育ってきたから。 マジメじゃないといけないと思っている。 だからマジメにやる。 何事も。 マジメだね。 いつだってそう言われる。 まわりからそう言われる。 だってマジメだから。 私はそう思う。 マジメでいようと…

少々、バラバラ、匙加減。

人それぞれすぎて、よくわからない。 匙加減。 アドバイスをもらっても。 指の大きさや感覚は人それぞれだから。 あなたの匙加減と私の匙加減は違うの。 レシピ通りにやったって。 出来上がりはバラバラ。 美味しいのか、不味いのか。 うれしいのか、かなし…

褒められる、以上、言葉。

言われたい言葉はたくさんある。 褒めてくれたら、そりゃうれしい。 なんだって、うれしい。 自分では欠点だと思っていたところを褒められたら。 違った意味で、そりゃうれしい。 言われたい言葉はたくさんあるから。 注意や指摘は、正直言われたくない。 自…

測る、図る、謀る。

私とあなたの距離。 近いのか遠いのかわからない。 近いと言う人もいれば。 遠いと言う人もいる。 ものさしは人それぞれ。 私のものさしだけで、はかるわけにはいかない。 こんなに世界は広いから。 私のものさしでは何もはかれない。 晴れたり、雨が降った…

凶器、狂気、今日気づいても。

人は皆、凶器を携えている。 生まれながらに。 特別なトレーニングを受けていなくても。 刃なのか銃なのか鈍器なのか。 人それぞれ。 その時々。 スパッといっても、一撃で決めても、後に残っても。 誰かを傷つけている。 私もあなたも、きっと誰も。 傷つい…

一人、最強、本音と建前。

一人最強説。 結局、そんな気がする。 一人は恥ずかしい。 そんな気持ちはとうになくなった。 映画もカラオケも焼肉も。 一人でなんの問題もない。 誰の目が気になる? 誰の目も気にしなくていいのに。 誰かの目を気にしすぎて。 誰かをいつも求めてしまう。…

不思議、不可思議、不死にまで。

歳を重ねるたび、不思議なことがなくなっていく。 幼いころはあんなに不思議なことがあったのに。 でも、不思議なのは。 不思議と思っていたことがなんなのか、覚えていないこと。 いつのまに、不思議ではなくなったのだろう。 思い出そうとしても、思い出せ…

バカは悪口だけど悪口じゃないバカもある。

バカって言ったらダメだよ。 彼は言う。 子供のころに教わったこと。 大人になったら自分の子供に教えた。 誰もが知っていること。 言われたほうは良い気がしないから。 念を押すように、彼は子供にもう一度言った。 パパにもママにも、お友達にも先生にも。…

言われてはじめて気づいたこと。

気にしなくていいよ。 あなたにそう言われて、気づいた。 気にしていなかったことに。 うん、ありがとう。 バレないように。 冷たい人間だと思われないように。 冷たい言葉を返す。 そんな風に思えなかった。 そんなところまで気が回らなかった。 むしろ、あ…

個人によって効果に差があります。

やさしい人が好き。 でも。 やさしさ人は、もっと好き。 やさしい人は、わかりやすい。 そういう人は誰にとってもやさしいから。 やさしさ人は、わかりにくい。 人それぞれだから。 合う合わない、がある。 気づく気づかない、がある。 それが一番の違い。 …

眠れない夜は小さな旅に出る。

ぐるぐる回る。 ポジションが定まらない。 心もからだも落ち着かない。 寝返りを打つ。 少しだけ良くなった気がするけれど、すぐに飽きてしまう。 頭の中にあるものとは違うから。 ぐるぐる回る。 夏だったり秋だったり冬だったり。 そして春だったり。 ぐる…

シーズン毎に服を買い替える時期は過ぎた。

ガラスが曇っている。 そんな季節になったのか。 ガラスに息を吐きかけると、さらに曇った。 もう一年くらい経ったってことか。 そう呟きながら、去年も同じことを思ったことを思い出した。 曇ったガラスに指を当てる。 去年はなにを書いたっけ…? 文字だっ…

歳を重ねるたびに上手くなる。

いつ死ぬのか。 どうやって死ぬのか。 そんなことはわからない。 なんのために生まれてきたのか。 死とはなんなのか。 そんなことはわからない。 それでも。 死ぬときは笑っていたいと思う。 苦しいかもしれないし、痛いかもしれない。 悔いばかり残っている…