雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

素晴らしき世界④

みんな笑っている。 それはとても素敵なこと。 それはみんな知っている。 だから、笑う。 笑っているから幸せなんだよ、って笑っている。 でも。 きっと誰もいないところでは笑っていなくて。 それでも誰もが笑っている。 口では、自分さえ良ければそれでい…

素晴らしき世界③

電車に乗った。 座席は満席。 仕方なく立って吊り革につかまる。 両手でつかまり、電車の揺れに体を委ねる。 ドアが開くたび、ぬるい風と人々が出入りする。 さっきまで飲んでいた酒がからだを巡り、一緒に眠気も巡ってくる。 いろいろなものに耐えながら、…

素晴らしき世界②

はじめて会った人なのに。 どちらまで? なんて丁寧に聞いてくれる。 あっ、同じところなんで大丈夫です。ありがとうございます。 私は答える。 あなたと私。 立場は同じなのに、あなたはドアを開けて待ってくれるだけじゃなく、行き先を聞いてくれるだけじ…

素晴らしき世界①

時間の価値は人それぞれ。 その時々で人それぞれ。 急いでいる人と、そうじゃない人。 追われている人と、そうじゃない人。 その時、その瞬間で。 様々な人がここに混じっている。 たくさんの人が時間を気にして早歩き。 たくさんの人が時間を気にせず歩いて…