雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

素晴らしき世界④

f:id:touou:20190925215146j:plain

 

みんな笑っている。

 

それはとても素敵なこと。

それはみんな知っている。

 

だから、笑う。

 

笑っているから幸せなんだよ、って笑っている。

 

でも。

きっと誰もいないところでは笑っていなくて。

それでも誰もが笑っている。

口では、自分さえ良ければそれでいい、なんて言いながら。

 

目の前にいる名も知らぬ人を笑わせようとする。

大なり小なり、する。

笑わせることができなかったとしても、笑顔をなくすようなことはしない。

 

名を知っている人が目の前にいれば、その強度は増す。

笑わせることができなかったとしても、それはあくまで結果論。

 

自分が笑うということはそういうこと。

ひとりじゃ笑えない。

誰かがいるから、笑っている。

 

こっち見て笑っていても、あっちを見れば笑っていない。

あっちに誰かいれば、また笑う。

 

なんのために?

自分のために?

 

そう言いながら、きっと違う。

違う、というのは正解でも正確でもないのだろう。

 

楽しくても哀しくても怒っていても嬉しくなっても、困っても、笑う。

そうしないと誰かが傷つくから。

みんなそれを知っている。

 

やっぱりそうだ。

自分のためなんかじゃない。

だから笑う。

 

理想とはかけ離れていても。

それはそれで、素晴らしき世界。