一方通行を乗り越えたら次は進入禁止。
このあたりは一方通行ばかり。
どこもかしこも、進入禁止のマークが。
あそこに行きたいのに、遠回りばかりさせられる。
ここを通っていけば一番近いのに、ここは一方通行。
ここから先は、進入禁止。
遠回りして、ようやく目の前に辿り着いたのに。
ここから入りたいのに。
関係車両以外進入禁止。
漢字ばかり。
どこからが関係していて、どこまでが関係していないのか。
一方通行ばかり。
進入禁止ばかり。
一刻も早く、あそこに行きたいのに。
一刻も早く、あそこに入りたいのに。
まっすぐ、一直線に、最短距離で、行けるところなんて、ほとんどない。
それでも…。
ルールを破るわけにはいかない。
私のために。
誰かのために。
私だって、誰かに勝手に入ってこられたら嫌だから。
進入禁止を出しているのに。
一方通行を出しているのに。
だからルールを破るわけにはいかない。
一般論はあっても、明文化されたルールは存在しない。
暗黙のルール。
それは人によって違う。
見えないルールを手探りで手繰り寄せ。
破るわけにはいかない。
それは、自由、とは違う。
けれども…。
そう思ってあたりを見渡す。
誰もいない。
誰もいなくたって、誰かが見ている。
いたずらな気持ちを抑えて。
進入禁止のマークを見て、踏みとどまる。