マジメは褒め言葉か否か。
マジメな人になりなさい。
そう言われて育ってきたから。
マジメじゃないといけないと思っている。
だからマジメにやる。
何事も。
マジメだね。
いつだってそう言われる。
まわりからそう言われる。
だってマジメだから。
私はそう思う。
マジメでいようとして。
まわりからその評価をもらえることが嬉しかった。
でも、いつしか。
褒められていないのではないかと思いはじめた。
マジメだね。
小さいころはそうやって褒められていた。
マジメだね。
今はきっと褒められていない。
言い方や視線でわかる。
私はもう小さくないから。
いつから変わったのだろうか。
マジメが褒められなくなったのはいつからか。
そんなはずはない。
そんなわけがない。
そう思っていても。
だから思う。
褒められない私はきっとマジメじゃないのだろう、と。
小さなウソはつくし。
手を抜くことはあるし。
ルールを破ることだってある。
私はマジメじゃない。
だから、褒められない。
でも、やっぱり私はマジメ。
マジメじゃなかったら。
もっとおもしろいことや気の利いたことを言えるから。
私は言えない。
マジメなことしか。
真夜中、車も人もいない短い横断歩道が青に変わるまで待っている私は。
きっとマジメ。
でも。
誰もいないから、誰も褒めてくれないの。