不思議、不可思議、不死にまで。
歳を重ねるたび、不思議なことがなくなっていく。
幼いころはあんなに不思議なことがあったのに。
でも、不思議なのは。
不思議と思っていたことがなんなのか、覚えていないこと。
いつのまに、不思議ではなくなったのだろう。
思い出そうとしても、思い出せない。
不思議なことが不思議じゃなくなったときを。
そんなことも覚えていないなんて。
不思議だと思わない?
歳を重ねるたび、不思議なことはなくなっていくのに。
歳を重ねるたび、不思議なことは増えていく。
不思議なことがなくなっていくのは。
ただの気のせいなのだろう。
視野が広がったせいなのか。
世界が広がったせいなのか。
歳を重ねたことだけが原因ではない。
不思議なことがなくなったら。
きっと、いろいろつまらないだろう。
死ぬまで不思議なことは山ほどある。
あそこにも、ここにも。
私たちは、不思議なことに包まれている。
死ぬことすら不思議に思えてくるし。
死なないことも不思議に思えてくる。
なぜ?何故?謎。
知りたい欲望は止まらないのに。
謎めいていたほうが、なにかと美しい。
つまりは。
生きていることは、それだけで美しい。
ふたつのことがせめぎ合い。
それ以上のことがぶつかり合い。
新たな不思議がまた生まれる。
知りたいけれど知りたくない。
コンプリートしたいけど、したくない。
その感情ですら、不思議だと思わない?