雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

半透明人間。

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手を挙げてもタクシーは停まらず。

 

自動ドアの前に立っても開かない。

 

店員さんに声をかけても誰も来ず。

 

「びっくりした!」とよく驚かれる。

 

それなのに。

道を歩いて肩がぶつかったら舌打ちされたり睨まれたり。

 

私は見えているのか見えていないのか。

 

中途半端な半透明人間。

 

見てほしいときに見られなくて。

見られたくないときに見られる。

 

まったくもって不便。

 

良いこととは目が合わず。

悪いこととは目が合う。

 

人生そんなもんだよ、だなんて。

思いたくもないし信じたくもない。

 

陽が傾いてきて私の影が伸びてきた。

伸びてきているのに、どこか縮こまっているような気がした。

 

肩を広げて、胸を張る。

少しだけ影が伸びた。

 

顎を上げて、目を開く。

なんだかやたらと夕陽が眩しく思えた。