雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

違った美味しさがそこにはある。

ピザって美味しいよね。 出来立てはもちろん、冷めたピザをレンジで温め直しても美味しいよね。 同じピザでも少し違った味を楽しめる。 たくさん頼みすぎちゃって。 余ったとしても、また次の日に食べられる。 あなたもそうでしょ? ふたりして頼み過ぎちゃ…

昔ながらの王道ど真ん中。

餃子を食べたい。 がっつりした餃子。 匂いがしないとか、女性でも気にせずとか。 そういうのではなく、がっつりした餃子。 あなたは気にするかしら。 餃子の匂いをさせた私を。 あなたは嫌かしら。 餃子の匂いをさせた私とキスするのが。 でもよく考えてみ…

タイプは違えど私のタイプ。

タレ派? リノはメニューを開いてケンに言う。 うん?まあ。 ケンは嫌な流れを感じる。 やっぱり焼き鳥には塩でしょ! リノはケンが注文したものと同じものを、塩で注文する。 塩で食う奴はみんなそう言うんだ。塩で食べるのが通、みたいな。塩で食べる方が…

2択がいちばん迷いがち。

世の中に2択はいろいろある。 好きなものは最初に食べるか最後に食べるか。 ありがちな2択。 言われがちな2択。 なぜ、その2択? 最初か最後にしか食べられない状況になんて、ほとんど出会わないのに。 まあ、いいか。 じゃあ、好きなものがエビフライだとし…

隠れ家的な、という大人の香り。

久しぶりに会ったヒロキとケンゴ。 居酒屋のテーブルで向き合う。 「本当に久しぶりだな」 「もう、何年になる?」 「楽しかったな、あの頃は」 「そうだな」 何年ぶりかに会うのに、ふたりの距離感はあの頃のまま。 いつもふたりで一緒にいた、あの頃の話で…

甘ければ甘いほど素敵。

甘いものが好き。 甘いものばかり食べて、とよく言われる。 それでもやめられない。 心が癒されるから。 まわりに何と言われようとも、甘いものには癒される。 そんなに甘いものばかり食べているから、甘っちょろいことばかり言うんだ。 誰かにそう言われた…

新たな季節が来るたび服が増える。

毎日服を選ぶのが面倒くさい。 なのに、服は増えていく一方。 流行という名の圧力に負けて。 おしゃれという魔物に喰われて。 本当は興味ないくせに。 私は見栄を張る。 誰のためにやっているのか。 きっと誰かのため。 私のためでは決してない。 だって私の…

誰にだって秘密はある。

誰にだって秘密がある。 マイはエコバッグを片手に商店街へと向かう。 人通りが多く、活気のある商店街。 あちこちからいい匂いが漂ってくる。 「奥さん、奥さん」 魚屋の店主が大きな声でマイを呼ぶ。 「こんにちは」 マイはお辞儀をしながら近づく。 「今…

好きな洋服を着たいだけ。

私は人形。 自分で好きな洋服を選ぶことができない。 自分の意思で動いてはいけない。 自分の力で動いてはいけない。 いつも洋服を着せられる。 私ではない誰かに。 着たくもない洋服を。 私にだって好みはある。 でも私には選べない。 私じゃない誰かが悩ん…

どこに行ってもそこそこ気になる。

この扉の向こうは、どうなっているのだろう。 この扉の向こうには、どんな人がいるのだろう。 こんなに目の前にあるのに。 一歩踏み出せば届くのに。 私にはこの扉を開けることができない。 ただ見ているだけ。 開けたらどんな風になっているのか、想像する…

鍵の数だけ守りたいものがある。

貴一は鍵をたくさん持っている。 そして、肌身離さず持っている。 鍵の束をベルトループにつけて、ジャラジャラジャラジャラ。 貴一が歩けば、ジャラジャラジャラジャラ、音がする。 すれ違う人々は誰もが音のする方に視線をやり、誰もが貴一のうしろ姿を見…

引っ越し先の決め方。

引っ越ししよう。 そう決めた。 どこにしよう。 どこへ行こう。 近くても遠くても。 ここじゃなければ、それでいい。 桜が咲くところ。 海が香るところ。 紅葉が乱れるところ。 雪に囲まれるところ。 ここじゃなければ、それでいい。 私の居場所はここではな…

入口と出口は別々。

居酒屋で知人と食事をする。 隣の座敷から声が聞こえる。 それぞれ個室になっているため、顔は見えない。 男性と女性の声。 声から察するに、若いカップルか。 男性はきっと社会人。 彼なりの仕事論を延々と話している。 そこまではっきりとは聞き取れないが…

履き違えたときは履き直せばいい。

ジンクスなんていらない。 あっても邪魔なだけ。 増えれば増えるほど、どんどん窮屈になる。 だからなくした。 ジンクスなんてなくした。 でも、ひとつだけやってしまうことがある。 靴を右から履く。 これが、唯一の、ジンクス。 ジンクスというよりルーテ…

瞬きするたび過去が増える。

ずっとあった焼き肉屋が潰れた。 文字通り跡形もなく潰され、更地になっていた。 大きな建物だったのに、なくなるのは一瞬だ。 大きな建物だったから、なくなったら見晴らしがやたらと良い。 何度か行った焼き肉屋。 あの人と行った焼き肉屋。 あれとこれが…

差別をしないと思うことがすでに差別。

昼食をいただく。 ランチ時のお店は人がいっぱいで忙しそうだ。 隣の席には小さな女の子とおかあさんが座っている。 「好き嫌いしちゃダメよ」 おかあさんが女の子に言う。 女の子はグリンピースだけを取り分けていた。 チャーハンに紛れたグリンピースだけ…

マスクは防寒着。

風邪ひいたの? 知人が私に言う。 いや、予防のため。風邪ひいたの? 私はこもった声で知人に言う。 うん、風邪ひいたの。 マスクから漏れる知人の声はとても小さく、辛そうだ。 大変だね、お大事に。 私はマスク越しにそう言うと、知人と別れた。 マスクを…

直感も大切だけどよく考えることも大切。

私はいつもポケットがパンパン。 ビビりだから、あれもこれもと、ポケットに入れて出かけてしまう。 出かけた先では、あれも良いこれも良いと、直感でポケットに入れてしまう。 いつもポケットがパンパンでかっこ悪いから、小さなカバンを持つことにした。 …

サングラスは色眼鏡ではなく色付き眼鏡。

サングラスをかけていたら、かっこつけちゃって、と言われた。 サングラスをかけたらかっこつけてるという色眼鏡で見ないで。 いいじゃない。 サングラスくらいかけても。 かっこつけてるわけでも偉そうにしてるわけでもないから。 眩しいだけ。 そりゃ、サ…

行列の先に秘密がある。

誰かが、良い、って言うとそんな気がする。 そんな私はきっと自分に自信がないのだろう。 でもひとつだけ自信を持って言えることがある。 近所にラーメン屋ができた。 行列ができるほどの人気店。 はじめはオープンしたばかりだから行列ができているのだと思…

あなたのためは自分のため。

私のラーメンの食べ方が気に食わないらしい。 レンゲの中でミニラーメンを作る私の食べ方が。 あなたのために言ってるの。 と、あなたは私に言う。 あなたのために言ってるの。 そういう人を私は基本的に信用しない。 あなたのため、は、自分のため。 あなた…

先入観は決して悪ではないが信用しすぎると痛い目にあう。

みんながカレーの話をするから。 もう完全に口がカレーモードに入ってしまった。 ココイチ美味いよね、なんて話をするから。 みんなそれぞれ好みがあるから。 ちなみに私はソーセージカレーにトッピングで納豆。 ココイチ好きなら、納豆トッピングに否定的な…

コーヒーと大人になることの因果関係。

コーヒーが好き。 かといって本格志向なわけではない。 缶コーヒーが好き。 どこでも買えるから。 のどが乾いたら缶コーヒーを飲む。 水でもお茶でもなく、缶コーヒーを飲む。 ほどよく苦くてほんのり甘い、微糖、が好き。 本当は微糖が好き。 でも飲むのは…