新たな季節が来るたび服が増える。
毎日服を選ぶのが面倒くさい。
なのに、服は増えていく一方。
流行という名の圧力に負けて。
おしゃれという魔物に喰われて。
本当は興味ないくせに。
私は見栄を張る。
誰のためにやっているのか。
きっと誰かのため。
私のためでは決してない。
だって私のためなら、こんなに苦しむ必要はない。
だって私のためなら、こんなに服が増えるわけがない。
選択肢が増えて、余計に面倒くさいだけだから。
本当は毎日同じ服を着たい。
お気に入りの服だけを。
お気に入りなんて、そうそう見つからないから。
そうしたら、いろいろ迷わなくてすむ。
でも、そういうわけにもいかない。
誰かのために、毎日服を着替えなくちゃ。
私のためではなく。
服を選ぶのが面倒くさい。
本当に好きな人なら楽しいのだろう。
服があればあるほど、楽しいのだろう。
でも私はそうじゃない。
本当は同じ服を着ていたいから。
私のためなら、毎日同じ服を着ていたい。
それならどれほど楽か。
私がそれを受け入れられたら、どれほど楽か。
服は増える一方。
誰かに見せるため。
誰かに会うため。
ああ、面倒くさい。
服を選ぶのも、着替えるのも。
そんなこと誰にも言えない。
そこに、私のため、なんて存在しない。
外に出るだけでこんなに気を遣うなんて。
外面ばかり気にして。
誰にも会っていないときの本当の私は、いつも同じ服を着ているのに。
ああ、また新しい季節がやってくる。
毎年、毎年。
季節は同じなのに、違う季節がやってくる。
また新しい服が増える。
誰かのための新しい服が、また増える。