雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

手を伸ばし 宙ぶらりんな 君と春。

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あったかくなったと思っていたら、また寒くなる。

風が冷たいと思っていたら、時折心地良くて。

少しの油断もできないことはわかっていても、すぐに一喜一憂してしまう。

 

上がったり下がったり。どこを鍛えているのだろうか。同じことのくりかえし。

 

厚手のコートも薄手のニットも両方必要だからハンガーが足りなくなる。

クローゼットに入れることなくすぐそこにかけるから、狭い部屋がもっと狭くなってしまう。

 

いつかは必ず来るとわかっていながら待ち遠しい。

春はすぐそこにいて、手を伸ばせば届きそうなのに、いつもつれない。

 

春は必ずやってくるとわかっていても、君はどうだかわからない。

手を伸ばしたら届くところにいるのに、君はいつもつれないまま。

 

上がったり下がったり。どこが鍛えられているのか。一喜一憂してばかりで、きっと鍛えられていない。

 

春は必ずやってくるのに。

手を伸ばさなくてもやってくるのに。

君に手を伸ばしたところで、私に春はやってくるのだろうか。