雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

まぜると危険だとわかっていながら。

f:id:touou:20200312215704j:plain

 

部屋の掃除は私の日課

 

リビングもキッチンもお風呂もトイレも。

床も壁も棚の隙間も天井も便座もシャンプーのボトルの底も。

徹底的に毎日掃除する。

 

潔癖症なわけではない。

ただ、綺麗にしていたいだけ。

 

掃除のしすぎで、洗剤にはやたらと詳しくなった。

場所や汚れによって使い分けるほどに。

だから家にはたくさんの洗剤がある。

こだわればこだわるほど、掃除道具は増える一方。

 

それでも使い道があるだけまだマシ。

 

私の募る想いとは違う。

 

ここに来るはずのないあなたのために掃除する。

いつ来てもいいように。

そんなこと誰にも言えやしない。

もちろん、あなたにも。

あなたの行くところはもうすでに決まっているから。

 

目の前にある洗剤を手に取る。

 

まぜるな危険。

そんなことはわかっている。どれだけ掃除していると思っているの。

 

まぜるな危険。

わかっているけど、まざってしまう。

 

好きと嫉妬は、どうしてもまざってしまう。

まぜたら危険だとわかっていながら。

 

来るはずのないあなたを想いながら、洗剤のふたを開ける。