雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

先にあるもの見えるもの。

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指先がひどく冷たくて、息を吹きかける。

なかなか温まらなくて、指先も頬もすっかりピンク色に染まった。

 

まつ毛の先にもなにやら冷たいものが引っかかっている。

ようやく現れた君が笑って手を合わせる。

 

つま先立ちで君は俺に寄りかかる。

そんなことされたら、すべてを許してしまいそう。

 

鼻先にかかる君の息吹。

少しも乱れていないから、走ることはしなかったのだろう。

 

今日の先はどうなるのだろう。

君はずっと笑っているけど、本当に笑っているかわからない。

俺も合わせて笑っているけど、本当に笑っているかわからない。

 

視線の先に見えるものは。

君と俺とでは、きっと違うのでしょう。