疲れた一日の原因を探る。
ふうっと大きなため息を吐いてソファに沈み込む。
あー疲れた。
独り言を大きめに言う。誰もいないのに。
どうしてこんなに疲れたのか。
いつもより忙しかったわけではない。
むしろいつもより暇だった。
残業をしたわけではない。
きちんと定時に帰宅した。
上司に叱られたわけではない。
褒められてもいないけど。
どうしてこんなに疲れたのだろうか、理由が見当たらない。
体調が悪いわけではない。
人間関係は今のところほとんど問題ない。
仕事は楽しかったり楽しくなかったりのくりかえし。
プライベートは充実しているという基準がよくわからない。
冷蔵庫を開けてビールを取り出す。
美味い。
ビールを美味いと思える時点で体調に問題はない。
なにが原因なのか。
今日という日を探っても、それらしいことはなにも出てこない。
なにもないのに疲れた。
やたらと疲れた。
探しても見つからないのなら、無理に探してもしょうがない。
ごはん食べてお風呂入って寝よう。
それすら面倒くさいけど、やるしかない。
生きることは面倒くさい。
これだ。
生きていくことは疲れる。
生きていれば疲れる。
理由をようやく見つけた。
疲れるけれど、また明日はやってくる。
いつか疲れていないときがやってくる。
それが明日なのか明後日なのかそれ以降なのかは知らない。
寝て起きれば、わかる。
なかなかソファから立ち上がれない。
ビールが美味い。
なにかしら頑張ったから美味いのだ。
なにかしら頑張ったから疲れたのだ。
そういうことにしておこう。