口笛、高音、低音。
吹こうと思って吹いているわけではなく、気づけば吹いている。
お気に入りの曲から急に思い出した曲まで、どこから影響を受けたのだろう。
口笛を吹く。
気分が良いわけでもテンションが上がっているわけでもなく。
気づけば、時々口笛を吹いている。
歌うわけでもハミングするわけでもなく、口笛を吹く。
高音が上手く出なくて、低音はまったく出ない口笛を。
しばらく吹き続けていると、疲れて飽きてしまう。
曲にではなく、自分に飽きてしまう。
お口直しに、適当にメロディーを奏でてみる。
綺麗に出る音域を中心に、時折高音、時折低音。
どこかで誰かが言っていた。
突然メロディーが降ってきた、と。
誰が言っていたのかは覚えていないけれど、きっと有名なミュージシャンだろう。
音楽には疎い私だけど、もしかしたら。
そんな思いを乗せて適当に吹いたメロディーは、何も残さず消えていく。
もう一度吹いてと言われても、適当だから思い出せない。
私に降ってきたメロディーは、パラつきすぎて何も残らない。
そうして曲にも自分にも飽きる。
思い出せないくせに。
疲れたから口笛吹くのをやめる。
でもまたいつかは吹く。
適当なメロディーを適当に。
私にはそのくらいがちょうどいい。