雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

乾燥、暖房、生まれ変わり。

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どこにいてもからだが乾燥する。

いくら暖冬だと言われても、冬はやっぱり寒いから。

出先でも家でも、暖房ばかり。

 

あったかいのはいいけれど。

どうにもこうにも乾燥してしまう。

 

乾燥しすぎて、あちこち痒い。

我慢しきれずに痒いところをかいたら。

皮膚が粉みたいになって、こぼれ落ちた。

からだの表面の一番上っ面が、こぼれ落ちる。

 

一番いろんなものに触れるところ。

一番晒されているところ。

ぽろぽろ、こぼれ落ちる。

 

見えるものも、見えないものも。

聞こえるものも、聞こえないものも。

感じるものも、感じないものも。

ぽろぽろ、こぼれ落ちる。

 

どうせなら、すべてこぼれ落ちてしまえばいいのに。

そう思って、もう痒くないのにかきむしる。

 

痛くなってきた。

そりゃ、そうだ。

でも、すべてこぼれ落ちてしまえばいいのに。

 

うっすら滲んだ血を拭く。

暖房のないところに行ったら。

まだ冷たい風が吹いていた。

 

冷たい風が沁みて、血が出るほどかいたことを後悔して。

ぽろぽろこぼれ落ちたものは、どこかへ飛んで行ってしまった。

 

またどこかへ行く。

暖房の効いたところへ。

乾燥してしょうがない。

 

いっそのこと、全部剥がれ落ちてしまえばいいのに。