雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

急ぎ、止まり、深呼吸。

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寝坊した。

いつもより30分以上も寝過ごした。

 

急がなくちゃ。

慌てて身支度を整え、家を出て、駅まで走る。

 

コーヒーすら飲めなかった。

歯磨き粉味のうがいでしか潤せなかった。

のどが渇いた。

こんなに走ったのは久しぶり。

 

駅に着く。

改札を抜けてホームへの階段を駆け上がる。

電車はもう来ている。

もう少し。

 

ポシュー。

 

目の前で扉は閉まった。

荒い呼吸のまま、電車を見送った。

時計に目をやる。

次の電車でもまだ間に合う。

 

一旦、休憩。

 

息を整える。

すぐに次の電車がやってきた。

生きはまだ少し荒いまま。

 

電車に乗ればもうじたばたできない。

駅に到着する時間はだいたい決まっているから。

それでも少しでも早く。

ドアの前に立ってスタートダッシュを決める。

時計に目をやる。まだ間に合う。

 

駅に着き、改札を抜ける。

あともう少し。

あの横断歩道を渡れば、もう会社だ。

青信号が点滅しはじめた。

スピードを上げる。

いけると思った瞬間、赤信号に変わり急ストップ。

 

大きく息を吐いて吸って、また吐いて。

 

青信号に変わり、会社へと入る。

 

私の部署は5階。

エレベーターは、まさかの最上階。

 

もう階段を駆け上がる体力は残っていない。

 

一旦、休憩。

そして、諦める。

 

急いでばかりじゃ疲れてしまう。

ここまで急いだから、もういいでしょ。

 

もう時計は見ない。

エレベーターには乗らず、ゆっくり階段を上る。

息を吸って吐いて、また吸って。

 

気持ちの準備は万端。

素直に怒られよう。