雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

マスクばかりの世界。

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世の中マスクで溢れている。

 

季節柄、致し方ないのかもしれない。

あっちを見ても、こっちを見ても、マスクばかり。

 

悪いことでは、ない。

 

マスクはやさしさの象徴。

 

菌をまき散らさないように。

他人を想う、やさしさの証。

 

予防のためだとしても。

見知らぬ人から自分を経由して見知った人への感染経路を少しでも断つ。

 

どっちにしても、やさしさのしるし。

 

テレビでは、マスク売り切れのニュースが流れている。

深刻そうな顔と声で。

 

自分を守るため、他人を守るため。

それ以外にもマスクが売れる理由があるそうだが、今はその賛否を問いたいわけではない。

 

ゴホゴホと咳をしながらテレビを眺める。

これくらいなら仕事に行かなくちゃ。

身支度を整え、最後にマスクをつける。

 

外に出れば、マスクだらけ。

 

これだけ多くの人がマスクをつけているのに。

本当にマスクはなくなったのだろうか。

見えないところに、たくさんあるのかもしれない。

 

マスクして仕事するなんて失礼ね。

 

そんな声が聞こえてきた。

そんな声はマスクで覆いたい。

そう思いながら、レジを打つ。

 

ありがとうございました。

マスク越しの声は曇って、きっと届いていない。

届けるつもりもないけれど。

 

マスクは外さない。

 

私もあなたも。

マスクをつけていてもいなくても。

 

かぶった仮面のことは、誰も気にしないのね。