穴あきパンツ、お気に入り。
ポケットに穴があいていた。
お気に入りのパンツだったのに。
お気に入りすぎて履きすぎたのかもしれない。
いつだって、そう。
何かに偏りが出すぎて負荷がかかって、穴があく。
いつだって、そう。
自分じゃ気づけない。
君が、破れているよ、って教えてくれた。
恥ずかしいったらありゃしない。
こんなところに穴があいていて、自分じゃ気づけないなんて。
ポケットに小銭を入れる癖があるから。
いくら分落としたのだろう。
お金が貯まらないわけだ。
落ちたら音がするだろうに。
それにすら気づかないなんて、もう末期。
どこまで鈍感なのだろう。
嫌になっちゃうよ。
小銭が落ちた音に気づかないのなら、穴があいたくらいじゃ気づくはずもない。
いつだって満たされない。
きっとポケットだけじゃなく。
心の底にも穴があいているんだ。
そこから何かがいつもこぼれ落ちている。
いくら幸せなことがあっても。
穴があいていれば、満たされるわけがない。
お気に入りのパンツと一緒。
お気に入りばかり履くということは、心地良いということ。
そればかり選んで負荷がかかって穴があく。
どうすりゃいいの。
心地良いところを選んで、何が悪いの?
次のお気に入りを探そうか。
お気に入りのものを増やそうか。
きっとどこかに穴があいている。
何も決まらず。
何も満たされない。