目つき、歯並び、悪かろうとも。
サングラスをかけて出かける。
陽射しは強くないし、なんなら曇っているし。
それでも、眩しいから、なんて理由をつけて。
かっこつけているわけじゃない。
ただ、目を隠せば恥ずかしくないだけ。
だって目が合ったら恥ずかしいから。
知っている人とも知らない人とも。
それに目つき悪いし。
細い目が、自分でも嫌だから。
目元をサングラスで隠せば。
背筋伸ばして歩いていける。
マスクをつけて出かける。
風邪をひいているわけじゃない。
予防のため、とうそぶきながら。
本当は、悪い歯並びを隠したいだけ。
歯並びをマスクで隠せば。
いつだって思い切り笑うことができる。
コンプレックス。
克服なんてできないまま、隠し続けている。
隠し通せるものじゃないのに。
バレバレなのに。
自分の中では隠したつもり。
そんな私のコンプレックス。
なぜだか、あなたの前だけは大丈夫。
私の悪い目つきと見つめ合う。
細い目がさらに細くなるまで笑いながら。
私の悪い歯並びがくっついた唇とキスをする。
たまにコツンと歯と歯がぶつかって、ごめん、なんて言いながら。
あなたの前だけでは、本当に笑っていられる気がする。
コンプレックスが克服できなくても。
私と向き合って笑ってくれるあなたが。
私は好き。