一富士二鷹三茄子。
富士山に登っていて頂上が見えはじめたころ、鷹が空を飛んで鳴いた。その拍子でくわえていた茄子が目の前に落ちてきた。
そんな初夢を見たかった。
由来は知らないけれど、どうやら縁起物らしい。
生まれてこのかた見たことがない。
ひとつだって出てきた試しがない。
どんな夢を見たのかすら覚えていない。
夢を見たことすら定かではない。
ついでに言えば。
四扇五煙草六座頭。
扇なんて季節はずれも甚だしい。
日常生活で使う時期ではない。
煙草はすでに絶滅寸前。
ぎりぎり電子タバコ。
世の中どんどん厳しくなっているから。
座頭に関しては、よくわからない。
どうやら、髪の毛を剃った盲人のことらしい。
そんなもの、出てくるわけがない。
縁起物はどうやら、日常とは遠いところにあるらしい。
だからこそ縁起物なのか。
全部出てくる夢を見てみたい。
そういう夢を見たらどうなるのだろう。
そんなことを夢見ながらこたつに潜り込む。
こたつの上にはまだ怖くて調べられない、宝くじが散らばっている。