雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

駅、人込み、ひとりぼっち。

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駅が人でごった返している。

 

みんな大きな荷物を抱えて笑っている。

 

行き先はみんなバラバラなはずなのに。

それぞれ知り合いでもないのに。

妙な一体感はどこから来ているのか。

 

大きな塊が動いていく。

私はひとり手ぶらで小さな穴を開けるように進む。

心だけ尖らせて、小さな穴を開けるように。

 

大きな流れができている。

私はひとり足に力を入れて突き進む。

踏ん張って押し出されないように流れに抗う。

 

私が向かう先はみんなと違うところ。

私だけが違うところに向かっている。

 

みんなどこに行くのだろう。

私はこれから帰るのに。

 

みんなどこへ帰るのだろう。

私はこれから行くのに。

 

塊に紛れたいのか、流れに乗りたいのか。

 

どんなに頑張っても、気づかないふりをしても。

 

私ひとりじゃ弱いまま。

 

帰ろう。

隙間を縫うように歩いていく。

 

家へ、ホームへ帰ろう。

誰にも触れずに私のホームへ向かう。