雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

禁煙、喫煙、天秤。

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君が禁煙をはじめた。

驚いたよ。

あれだけ吸っていたのに。

あれだけやめないって言っていたのに。

 

ピタリとやめた。

絶対無理だと君は言っていたのに。

 

どうしてやめたのか、君に問いただす。

 

お金のため?

 

それもあるけど。まあ、それだけじゃないし、それが決定的なわけではない。

 

たばこを吸う時間がもったいないから?

 

そんなに意識高くないよ。基本的にダラダラしたいタイプだし。

 

時代の流れ?

 

そんな大げさなことじゃない。それに、たばこやめることを時代のせいにはしたくない。あれだけ世話になってきたわけだし。時代だからさようなら、は理由にしたくない。

 

嫁さんか?

 

あいつも吸うし。電子タバコだけど。俺はずっと紙巻たばこで臭いって言われていたけど、電子タバコも臭いから。

 

じゃあ、なんで?

 

言わなきゃダメ?

 

参考にしたいんだ。俺もやめたいけどやめられないし。

 

参考になるかな?

 

それは俺が決める。

 

……娘にさ、臭いって言われたんだ。パパたばこ臭いって。もうそれからキスはもちろん抱きしめることも嫌がってさ。そうなったら、もう、やめるしかないだろ?

 

お前、すごいな。

 

なにが?

 

いろいろ。昔のお前じゃ考えられないな。

 

俺もそう思う。ある意味、時代のせい、だけどな。

 

それが理由なら、たばこも喜んでいるよ。

 

なんだそれ。参考になったか?

 

ならない。

 

お前はまず結婚相手を見つけないとな。

 

やっぱり、結婚っていいもんなのかな?

 

それとこれは別問題だと思うよ。

 

お前の嫁さんに言っとくわ。

 

絶対に言うなよ。言ったらお前が禁煙しはじめたとき、お前の前でたばこめっちゃ吸ってやるから。

 

禁煙は?

 

そうなったら禁煙とか言ってる場合じゃないだろ?