雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

かるた、お手つき、負けられない。

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ヒマだね。

 

そうだね。

 

じゃあ、かるたやろう。

 

かるた?

 

今から「あ」から順番に、私が喜びそうなこと言って。

 

喜びそうなこと?

 

やればわかるよ。じゃあ最初は「あ」。

 

あ?ありがとう?

 

ハイ!いいね。次は「い」。

 

いっしょにいたい。

 

ハイ!いいじゃん。「う」。

 

うれしい。

 

ハイ!「え」。

 

えいが観に行こうよ。

 

うーん。それ、私が喜ぶ?

 

うれしくない?映画好きでしょ?

 

好きだけど。なんか微妙。「お」。

 

おつかれさま。

 

ダメ。お手つき。

 

お手つき?

 

かるただから。

 

俺が読み手なんだけどな。かるたと微妙に違うし。

 

細かいことは気にしないの。「か」。

 

かわいい。

 

お手つき。

 

ダメ?

 

嘘くさい。「き」。

 

きゅうりょう少なくてごめん。

 

ダメ。正直に言っても嬉しくない。上げて。「く」。

 

くすり持ってるよ。

 

何の話?

 

すぐ体調崩すだろ?俺はいつだってお前のために薬を常備してるから。

 

うーん、理由を聞いたらOKかな。「け」。

 

けっかてきに良かった。

 

何それ?「こ」。

 

こども好き。

 

……。「さ」。

 

さ?さらだバーあるよこの店。

 

何言ってんの。私が喜ぶこと!「し」。

 

しゅみ良いよね。

 

微妙。もっとストレートなのがいい。「す」。

 

すき。

 

ハイ!やればできるじゃない。

 

何なのこのゲーム。

 

あなたがどれほど私のことをわかっているかゲーム。

 

恐怖以外の感情が生まれないよ、このゲーム。

 

まだまだね。まだ私のことを理解していない。まあ、今日はこのくらいにしといてあげる。

 

「せ」は言わなくていいの?

 

嫌な予感がするからやめとく。