雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

イヤホン、片っぽ、秘め事。

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なにを聴いているの?

 

イヤホンつけて、君はなにを聴いているの?

近くに寄っても聞こえない。

音漏れしていないから、なにも聞こえない。

 

君がなにを聴いて、なにを思うのか。

ぼくにはわからない。

 

知りたいと願う。

わかりたいと願う。

 

イヤホン片方貸してくれないか。

一緒に聴こう。

 

君が聴いている。

君の内なる声を。

 

片方だけでもわかることは、きっとある。

君の声を半分だけでも。

 

誰かに届けたいのなら。

誰でもいいってわけじゃないのなら。

 

ぼくが立候補する。

 

誰にも言わない。

誰にも聴かれたくないだろうから。

 

秘密は守るよ。

君のためだけじゃなく、ぼくのために。

 

ぼくだけが聴くんだ。

君の声を。

 

君とぼくのふたりだけ。

ふたりだけの秘め事。

 

両方じゃなくても大丈夫。

片方ずつがいい。

 

ふたりで聴くことに意味があるから。

 

寄り添い、時には手をつないで。

今より少しだけ距離を縮めて。

 

君の持っているイヤホンは、ワイヤレスじゃないから。

 

すべて聴こうなんて思っていない。

すべてわかるはずもないから。

 

片方だけ。

半分だけでも、分かち合おう。