雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

気遣い、言葉遣い、お使い。

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あなたは言葉遣いが悪い。

 

そんなことはわかっていたけど。

どうしようもなく我慢できないときもある。

それをあなたに伝える。

 

そんなこと前からわかっていただろ。

あなたはぶっきらぼうに言う。

言葉遣いがどうのこうのと言っている場合じゃない気がしてくる。

 

いろんなことが積み重なって。

 

疲れた。

気づけば、それが私の口癖。

 

あなたは気づいているのか。

言葉遣いと性格は同調するのか。

それなら。

きっとあなたは気づいていない。

 

疲れた、なんて言いたくないのに。

気づいてほしいのか、言ってしまう。

 

なるべく小さな声で。

独り言のように。

 

私のいやらしいところ。

 

きっとあなたも疲れてしまったのね。

あなたは夜出かけることが増えた。

 

ひとりになったら。

疲れた、なんて呟いてもしょうがない。

 

出かけるけれど。

あなたはちゃんと帰ってくる。

1、2時間もすれば帰ってくる。

 

どこに行ってたの?

なんて訊きやしない。

 

あなたは帰ってくるたび、ビニール袋を持っているから。

 

私が好きなものが入っている。

テーブルに並べる。

 

ほら。

 

ぶっきらぼうにテーブルに置く。

 

ありがとう。

私は小さく言う。

 

ああ。

あなたはいつもそう。

 

頼んでもいないお使いを。

あなたなりの気遣い。

言葉遣いは悪いまま。

 

私のこと好き?

あなたを見つめる。

 

なに言ってんだ?疲れてるんなら早く寝ろ。

あなたはいつもそう。

 

ありがとう。

小さく言う。

 

あなたのように。

あなたの真似をして。

ぶっきらぼうに言う。