夜道、歩く、選び方。
暗がりを歩く。
なるべく明るいところを選びながら。
街灯のある道を。
その方がいいよ、って誰かが言っていたから。
その方が安心だよ、って誰かが言っていたから。
ほとんどの人がそう言うから。
私は街灯のある道を選んで歩く。
誰かが作った街灯の下。
安心しながら歩く。
あっちの道には街灯がない。
真っ暗。
あっちに足を踏み入れたらダメ。
お月様もお星さまもいらっしゃるのに。
流れ星はひとつも見えないけれど。
明かりはいくつも流れていく。
夜なのに明るくて。
明るいのに夜で。
夜の中にも、昼も夕方も真夜中もあって。
あっちの道に行ってみよう。
真夜中の道。
行ってはいけないと言われる道。
絶対に、言ってはいけない。
誰かが言っていたから。
ほとんど誰も通らない道よりも。
誰かが置いてくれた街灯の明かりがある道を進めばいい。
見ようによっては、お月様やお星さまのよう。
誰かには内緒で。
あっちの道を行ってみよう。
自分で決めたこと。
誰にもなにも言わせない。
誰かになにか言われたとしても。
その人はあっちの道を通ってないから。
街灯のない道。
こっちよりも、きっと暗い。
その分。
本当のお月様もお星さまも、見えるかもしれない。