十一月十九日。
いつか私は失恋する。
君に失恋する。
そんなことはわかっていながら。
今が良ければ、それでいい。
そう思わせる君は、すごい。
歳月が経つのは早い。
君と一緒にいれば、尚更。
今を大切にしたい。
そう思わせる君は、すごい。
それでも、きっと、いつか君とは離ればなれ。
私は君に失恋する。
手をつなぐことも。
抱き合うことも。
キスすることも。
なくなってしまうんだ。
だから、余計に今を大切にする。
今しかできない、君との大切な想い出。
君は忘れてしまうだろう。
私はずっと覚えているのに。
君は未来を見ているのに。
私は過去を見てしまう。
いつまでも、私のそばにいてほしいから。
仕方のないことなのだろう。
私はそれを受け入れるしかない。
だから今は、君をずっと見ている。
笑った顔。
泣いた顔。
怒った顔。
寝ている顔。
すべてを記憶するために。
いつか離ればなれになったときに、君をしっかり思い出せるように。
さよなら、はまだ言わない。
離ればなれは、もう少し先。
それまで一緒にいよう。
一秒でも多く、笑っていよう。
君にとって、私よりも大切な人が現れるまで。
そうなったら、私は潔く身を引こう。
それまで、私を愛しておくれ。
私はずっとあなたを愛するから。
君への失恋は。
きっと私にとって、人生最後の失恋。
きっと私にとって、人生唯一の幸せな失恋。
記憶の容量はまだまだたっぷり。
君ほどではないにせよ、たっぷり。
君の記憶に少しでも私が残るように。
君との一日一日を大切に過ごすんだ。
愛する娘よ。
誕生日、おめでとう。
君に会えて、私は幸せ。
君も少しは、幸せかい?
今が良ければ、それでいい。