雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

誠実な人が好きだから。

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誠実な人が好きだから。

 

誠実な人が好きなのに。

妻子持ちを好きになった。

 

彼は誠実だから。

私のことを受け入れてくれた。

 

彼は私に誠実で。

きっと彼の家族にも誠実。

 

職場に着けば、まず彼のネクタイの色をチェックする。

会える日は、青。

会えない日は、赤。

 

信号みたいで覚えやすい。

黄色のネクタイは持っていない。

彼は私にも家族にも誠実だから。

 

会えない日はお酒を飲む。

会える日もお酒を飲む。

ひとりで飲むかふたりで飲むか、だけの違い。

同じお酒でも、味もアルコール度数も全然違うけれど。

 

会えない日は映画を観て、小説を読む。

彼のことを思い出さないよう。

恋愛モノは除外。

彼のことを思い出してしまうから。

 

ひとりで寝るときは。

彼といるときのクセで。

ベッドの端に寄ってしまう。

 

寝る前に3回枕を叩いて。

おまじないをかける。

 

夢に彼が出てきますように。

明日は青いネクタイをしていますように。

毎日彼と一緒にいられますように。

 

3つの願いを込めて、枕を3回叩く。

強めに、叩く。

 

誰にも彼にも言えない、私だけのおまじない。

私の心だけに秘めておく。

 

彼は誠実な人だから。

 

誠実な人が好きだから。