雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

伝わらない気持ちは数知れず。

f:id:touou:20191015203351j:plain

 

ユウジはアクセルから足を離し、スピードを落とす。

前方にできたスペースに、左車線から車が入ってきた。

 

やさしいね。

助手席でスマホ片手にアイナが言う。

 

そう?別に急いでいるわけじゃないしね。

ユウジがそう言うと、前方に入った車がハザードランプを点滅させた。

 

良い人ね。

アイナはスマホ片手に言う。

 

そうだね。別にハザードランプで「ありがとう」って言ってもらうために譲るわけじゃないけど、あったほうが気持ちはいいよね。

 

ユウジは車線譲ってもらったらハザードランプ点ける?

 

点けるよ、基本的に。なんかの歌詞みたいに5回点滅させる余裕がないときは1、2回しか点けられないときもあるけど。

 

5回もつけるの?

 

あ・り・が・と・う、でしょ。

 

なにそれ。

 

アイナもSNSで「いいね」がついたら嬉しいでしょ?なくてもいいいけど、あった方がいいでしょ?

 

まあね。

 

車線を譲ったり譲られたりして、ハザードを点けるかどうかはそういうことなんだよ。

 

なにそれ?よくわかんないけど…、「いいね」を差し上げます。

アイナはスマホ片手に言った。