未知との遭遇。
音楽を聴きながら笑う君。
何を聴いているの?
そう言ってイヤホンを片方借りた。
聞いたことのない曲。
笑っていられるような歌詞ではない。
なのに、君は笑っている。
私の知らない音楽はたくさんあって。
私が知らない感情もまだまだある。
知っているつもりでいた君のことも。
いろいろ辿れば、知らないことばかりと出会う。
知らないことを知ったとき。
また私が知らない感情と出くわす。
どうして君はこの曲を聴いているのか。
どうして君はこの曲で笑っていられるのか。
イヤホンを返す。
不思議な曲だね。
そんな陳腐な感想しか言えない。
良い曲でしょ。
君は笑う。
私はまだ知らない。
こんなとき、なんて言えばいいのか。
こんなとき、どんな顔をすればいいのか。