絶妙で奇妙なバランス。
この世はきっと砂場のようなものだ。
なにもないところから。
大きな山ができて、大きな川ができて。
それだけじゃ物足りなくなって、大きな山にはトンネルを掘り。
それだけじゃ物足りなくなって。
建物作ったり、道路作ったり。
少しずつ、広げていって。
少しでも、広げていって。
あっちにも、こっちにも。
いろんなものが出来上がる。
限られた範囲の中で。
上にどんどん伸びていって。
下にどんどん深くなって。
絶妙なバランスで成りっている。
奇跡のようなバランスで。
でも、これだけあったら、奇跡なんかじゃないのだろうけど。
数え切れないほど、いろんなものが積み重なっている。
崩れないように。
絶妙なバランスで。
風が吹いたら、なくなってしまいそう。
飽きたら、すべて崩されてしまいそう。
そんな脆さを抱えながら。
そんな儚さを抱きしめながら。
また新たななにかができあがる。
いつまで持つのか。
いつまで奇跡は続くのか。
絶妙なバランスが、絶妙ではなくなるとき。
それがいつかはわからない。
昔も今も未来も。
いつだって危うさと隣り合わせ。
奇妙なバランスで成り立っている。
奇跡じゃなくなるときを見届けなくちゃ。
奇跡なんかじゃない砂の集まりを。
待ち望んでなんか、いないけど。