雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

敵も味方も大体同じ数。

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敵が現れた。

 

どこかで見たことのなる顔だ。

昔、どこかで出会ったことのある奴なのか。

 

鈍器のようなものを持っている。

ドスン、ドスンとからだの中に響く攻撃をしてくる。

 

防戦一方になったとき。

味方が現れた。

 

これもどこかで見たことのある顔。

敵の攻撃を受けたところを癒してくれ、新たな攻撃を防いでくれる。

 

あっちに行くといい。

味方はそう言って、私が行くべき方向を照らしてくれた。

 

敵はどこかへ消え、味方が照らしてくれた道を行く。

山あり谷ありの道。

 

しばらくすると、再び敵が現れた。

これも見たことのある顔。

 

今度は鋭利な刃物で斬りつけてくる。

全部避けきることができなくて、あちこち痛い。

血がいくつも流れ出る。

 

もう立っていられない。

そう思ったとき、また味方が現れた。

 

敵との攻防は一進一退。

すべての力を振り絞り、敵を追いやった。

 

あっちに進むといい。

そう言って、道を照らしてくれた。

 

見たことのある顔。

あとになってようやく気づいた。

 

今まで現れたすべての敵も味方も、どれも私の顔だったことに。