日記のようなもの②
怒りを吐き出す。
どうにも我慢できなくて。
感情に任せていたら、口からなにかが出てきた。
赤くてドロドロしたもの。
白いTシャツにかかった。
べっとりかかった。
拭いてもとれない。
洗ってもとれない。
すっかりシミになってしまった。
どんな手を使ってもとれないシミ。
こうなったら、白いものを吐き出すしかない。
Tシャツと同じ色のものを吐き出して、馴染ませる。
勢いに任せて。
感情に任せて。
怒りを吐き出す。
そのたび、口からなにかが出てくる。
なのに。
どうしても白が出てこない。
青だったり黄だったり。
紫だったり橙だったり。
金だったり銀だったり。
ありとあらゆる色は出てくるのに。
白はどうしても出てこない。
怒りに任せて。
感情に任せて。
なにも思い通りにはならない。
吐き出したものは、すべてシミになる。
いろんな色が混ざり合って。
白いTシャツは黒くなった。
吐き出すたびに思うのに。
ああ、どうしよう。って。
後悔しても、もう遅い。
何度も同じことのくりかえし。
目の前には真っ黒なTシャツ。
拭いても洗っても、とれない。
なのに。
こんなにいろんなものを吐き出したのに。
吐き出すものは、なくならない。
後悔はすぐに消えるのに。
とれないシミは重なって、消えることなく残り続ける。