帰ってお風呂入って眠るだけ。
疲れた。
今日は疲れた。
特別忙しかったわけではないのに。
今日はやたらと疲れた。
帰ってお風呂入って眠るのがギリギリ。
夕食を作る気力も体力もない。
そんな日は。
行きつけのお店で食事をすませる。
行きつけのお店は家のすぐそこ。
歩いていけるからお酒を飲める。
お店の雰囲気は良いし、味つけは私好み。
こじんまりとした店内は、なかなかに賑わっている。
家族連れに恋人同士。
みんな楽しそう。
気の利いたBGMなんて流れていないのに、心が落ち着く。
私はひとりカウンターに座る。
「いつもの」なんて言えないから。
いつもの生中とチャンジャを頼む。
生中を半分ほど一気に飲む。
おいしい。
ありきたりだけど、生き返るようだ。
死んではいないけど、生き返るようだ。
生き返ったけれど、帰ったらすぐお風呂に入って眠りたい。
本日のおすすめメニューを開いて、3品注文する。
家族連れの笑い声が聞こえてくる。
あの人たちもこの店の常連なのだろう。
何度か顔を見たことはある。
話したことはないけれど。
生中を飲み干す。
カウンター越しにマスターが調理をしている。
話したことはない。
マスターというより大将。
寡黙な大将。
ただし、料理の腕は一級品。
私の好みにぴったり。
料理がくる。生中をもう一杯。
ああ、おいしい。
疲れはとれないけれど、質は変わる。
ああ、おいしい。
特別忙しかったわけではないけど、今日がんばってよかった。
おなかいっぱい。
疲れたときは、やっぱりここに限る。
なにかを話すわけではない。
食事をして、お酒を飲むだけ。
どこでもいいわけじゃない。
誰とも話さないけれど。
ここが、私の行きつけ。
ああ、明日もがんばろう。
そう思わせてくれる空気感。
あとは家に帰ってお風呂に入って眠るだけ。
ああ。
お風呂もだんだん面倒くさくなってきた。