雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

どっちがお化け?

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朝起きたらいつもどおり。

部屋にいてもいつもどおり。

 

眩しい日差しの下、町を歩けばいつもと違う。

 

この町はこんなにも大きかったのか。

この道はこんなにも広かったのか。

 

いつもはあんなに音が溢れているのに。

いつも見かけるあの人はいない。

 

この町はゴーストタウンと化した。

 

あの人たちはどこかに行った。

私はここに残った。

 

どっちがゴースト?

 

行ったあの人たち?

残った私?

 

あの人たちは行ったのか帰ったのか。

私の知らないところへ。

 

私はずっとここにいる。

 

うらやましいような。

うらやましくないような。

うらめしいような。

 

しばらくすれば元通り。

またすぐにいつもどおりに戻る。

 

それまで私は広い道の真ん中を歩く。

 

静かな町に私の声がどこまでも響く。

私の声は誰かに届くのか。

誰もいないこの町に。

 

消えたあの人たちか、残った私か。

お化けはどっち?