何もせずにいることをする。
何もせずにいられたらいいのに。
何もしていないのに汗をかく。
もうそんな季節。
挨拶代わりの、暑いね、がそこらじゅうに転がっている。
踏んでしまうと、こっちまで、暑いね、と言ってしまう。
何もせずにいられたら。
何もせずにいても汗をかくのなら。
歩いて、動いて、汗をかく。
何もせずにいても時間が過ぎるのなら。
走って、動いて、時間を進める。
何もせずにいても回っているのなら。
ジャンプして、動いて、振り落とされないように。
光は勝手に射し込む。
音は勝手に流れる。
匂いは勝手に漂う。
何もせずにいられたら。
少しは何かが変わるのだろうか。
変化を求めるくせに、変化を恐れてしまう。
まわりが勝手に動くから、止まっていても景色は変わるはずなのに。
何もせずにいられたら。
何もせずにはいられない。
おでこにじんわり汗が浮き出してくる。
人差し指で汗をなぞって、舐めてみる。
そこで、改めて知る。
自分はなんてしょっぱい人間なんだと。