過程も査定に入れてほしい。
どれだけ力を入れても開かない。
君が持ってきた瓶。
君が持ってきた瓶のふたが開かない。
これ開けてもらっていい?硬くて…。
君がそう言ったら、男としての魅せどころ。
しょうがないな感を出して、瓶を受け取る。
そこまではよかったけれど。
ある程度の余裕を持ってふたを開けようとするが、すぐに余裕がなくなる。
おかしいと思ったよ。
瓶のふたを、ひとひねりした時点で、これはちょっと、って思ったよ。
これは硬い。
君に気づかれたくなかったから。
かっこ悪いところを見せたくなかったから。
ふたひねり目からは、全力を出した。
でも、開かないんだ。
これは硬すぎる。
君の目を見ることができない。
これは自力では無理だと判断したけれど、諦めるわけにはいかない。
濡れたタオルをふたにかぶせて滑らないように。
温めたらいいと聞いたことがあるから温める。
瓶の逆さまにして底をポンポンと叩く。
知っている限りの方法を試す。
それでも、どうにもこうにもふたは開かない。
もういいよ。ありがとう。
君は切ない声と一緒に手を差し出す。
でも、これ使うんでしょ?
俺は瓶のふたをコツコツ叩く。
うん、まあ、今日はもういいよ。
君は俺から瓶を奪い取る。
そう言えば、その瓶って何なの?
ラベルには英語なのか何なのか書かれているけれど読めない。
君は濡れたタオルを瓶にかぶせる。
最後のあがきで力を入れる。
それ、何の瓶?
あっ!開いた!
君は大きな声を出す。
おおっ!
俺も大きな声を出す。
この感情は、自分でもよくわからない。
よかった。
君はうれしそうに瓶を持っていく。
ねえ、それ何の瓶?
答えはない。
俺の声が届いていないのだろう。
今の俺の存在は、ないも同然だから。