雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

一日の長さは不平等。

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待ちに待ったこの日。

夢にまで見たこの日。

夢のようなこの日。

 

文字通り、夢の中で生きている。

 

やりたいことは山ほどある。

 

あれもこれもと思い浮かべてはにやけてみる。

 

起きたばかりで時間はまだたっぷりある。

 

あれもこれもと想像は膨らむ一方。

 

小腹を満たして氷たっぷりのグラスにサイダーを注いで一気に飲み干す。

カラン、と音をたてて氷が崩れた。

 

もう少しだけ寝てみよう。

 

タオルケット1枚おなかに乗せて、扇風機のスイッチを入れる。

 

燦燦と降り注ぐ陽射しを細目で見ながら、ゴロゴロする。

 

ちょっとだけ、からだを休める。

 

 

 

ちょっとだけのつもりだったのに。

 

目が覚めたら汗だくだくでグラスの氷はすっかり溶けていて、窓の外の陽射しはあのころの勢いを完全に失っている。

 

ちょっとだけのつもりだったのに。

 

夢から覚めて幾時間。

夢が覚めるまでは数時間。

 

まだ夢の中にいる。

目が覚めてもまだ、夢の中。

 

あれもこれもできなくなったけれど、あれくらいならやる時間はある。

 

これだけ寝たのなら、夜はきっと眠たくならないだろう。

まだまだ夢は続く。

 

夢の中で生きていく。

夢の中では時間が経つのが早い。

気づけば外は真っ暗。

 

どうして。

 

どうしてあんなに寝たのに。

 

こんなにも眠たいのか。

 

抗ってみるけれど、次第に頭の中は夢の中。

 

今度寝て起きたら。

次に夢を見たら。

 

本当に夢から覚めてしまう。

 

次の夢は一週間後。

長い。

 

あれもこれもできぬまま。

あれしかできぬまま。

 

夢のような時間は終わってしまった。

 

次は一週間後。

それまでやるしかない。

 

もうまぶたの重さに抗えない。