雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

正しく解いてもほどけたまま。

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ふたりの男が向き合っている。

 

ここの問題の答え、合ってる?

 

いいや、間違ってる。

 

じゃあ、これは?

 

これも違うね。

 

これは?

 

違う。

 

すべて間違えた男は、ふぅ、と大きなため息をつく。

 

もうひとりの男はどこで間違えたのか、答えをめくりながら照らし合わせる。

 

なにも合ってないな。

 

そうだな。

 

合ってるはずなんだけどな。

 

その自信はどこからくるんだ。間違ってるのに。

 

正解ってなんだろな。

 

なんだろな。

 

なにが合ってるんだろうな。

 

わからん。

 

全部間違えるってある?

 

あるだろ。今がまさにそうだ。

 

ふたりは同時にため息をつく。

 

なにが正解でなにが間違っていて、どこで間違えたのかですらわからないなんて、致命的だな。

 

たしかに。

 

これからどうなるんだろうな。

 

なあ。

 

俺たち間違えてばかりだな。

 

まあ、でも、今生きているってことは、あながち間違えてばかりじゃないってことかもしれないぞ。

 

正解ってこと?

 

正解って言われると、なんか違う気がしてくるけどな。

 

ふたりはまた、同時に大きくため息をついた。