雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

私の言葉だけが特別扱い。

 

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そんなのキレイごとだ。

あなたはそう言う。

 

どうしてキレイなものが許せないの。

 

花だって月だってあなたは、キレイだ、と言うのに。

キレイな人が好きだと、恥ずかしげもなく言うのに。

 

あなたの部屋は整理整頓されていて。

髪型も洋服も清潔感があるのに。

 

私の言葉には、キレイごとだ、と憤る。

 

素敵な絵画を眺めては、キレイだ、と言う。

心温まる映画を観ては、キレイだ、と言う。

繊細な小説を読んでは、キレイだ、と言う。

 

風や鳥が舞っているのを見て、キレイだ、と言うあなた。

 

私の言葉は、キレイごとだ、と吐き捨てる。

 

私も世のものも創られたものも。

すべて同じはずなのに。

 

私のことを、キレイだ、なんてあなたは言わない。

そんなことはわかっている。

 

私の言葉は、キレイごとだ、と言う。

そんなことはわからない。

 

きっとあなたはわかっている。

誰だってキレイなものを求めていることを。

 

あなたはそれを認めたくないだけ。

私の言葉を受け入れたくないだけ。

 

私は怒ってなんかいないよ。

 

そんなあなたが愛おしいから。