雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

指と指の間がいちばん痒い。

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虫よけスプレーをかける。

あなたはすぐに虫に刺されるから。

 

からだのすみずみまで。

目を閉じて。

顔にもしっかりかける。

 

あなたにはすぐに虫が寄ってくるから。

 

何が原因なのかは、わからない。

わかっているのは、何かしらの原因があなたにあるということ。

 

虫が寄ってきてもあなたは気にしない。

私のほうが気にしてしまう。

 

虫に刺されてもあなたは痛くも痒くもない。

私のほうが痛いし痒い。

 

だからあなたが出かける前に、必ず虫よけスプレーをかける。

からだのすみずみまで。                 

 

ベタベタになっても構わない。

変な匂いがついても構わない。

 

あなたに虫よけスプレーをかける。

 

悪い虫が近寄らないように。

 

あなたは虫に刺されても気にしない。

私ばかり気にしてしまう。

 

私のために。

あなたのために。

 

だから、そんなに嫌そうな顔をしないで。

 

あなたの小指と私の小指。

交わして約束したはずだから。