寄り道がメインストリート。
朝起きたときには、あんなに今日は頑張ろうって思っていたのに。
仕事に行って帰るころには、もうそんな気力がなくなっている。
体力的なものなのか、精神的なものなのか。
なくなってはいないけれど、だいぶ減っている。
でも、少しだけ残っているから。
早く帰って、やることやって、頑張ろう。
今、決心したばかりなのに。
どうして本屋に寄ってしまうのだろう。
ちょっとだけ、と思いながら。
本屋の中でいろんな世界を旅してしまう。
タイムマシンに乗ったように。
乗ったことはないけれど。
きっと、こんな感じなのだろう。
いろんなところをぐるぐる回って戻ってくる。
ようやく戻ってきた、と思ったら。
美味しそうなごはん屋の前を通る。
そこには、いい匂い、しかない。
間違いなく、美味しい。
自分の勘が、そう言っている。
おなかは空いている。
どうせ帰ったらごはんを食べるのだから、ここで食べても同じ。
匂いの道を歩くように、ごはん屋へと入る。
おなかいっぱい。
やっぱり美味しかった。
自分の勘の良さを自分で褒めてあげたい。
さあ、帰ろう。
明日も仕事。
駅へと向かう。
なのに。
どうして駅の隣に映画館があるんだ。
しかも、ずっと観たかった映画が上映されている。
時間もちょうどいい。
今日は勘が冴えている。
その勘が言っている。
この映画はおもしろい、と。
そんなことを考えながら。
自然と足は駅とは反対方向へ。
やっぱり今日は勘が冴えている。
嗚呼、でも、もうこんな時間。
映画館を出たら、もう真っ暗。
映画館より暗くなっている。
電車に乗って家へと帰る。
あんなに誓ったのに。
朝も、さっきも、誓ったのに。
何を誓ったのか。
誰に誓ったのか。
それは自分だけが知っている。
だからじゃないけど。
せめてもの言い訳として。
お気に入りの小説を読む。
嗚呼、おもしろい。
これで明日は、頑張れそうだ。
これで明日も、頑張れそうだ。