雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

仇以外で恩を返す。

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恩返しをしたいのだけど。

 

私はなにも持っていない。

あなたに差し出せるものは、なにもない。

素敵なアクセサリーも高価な洋服も。

美味しいお酒は知らないし、誰も知らないようなお店も知らない。

 

恩返しをしたいのだけど。

 

お金はないし、特別なスキルもないし、独創的な発想もできない。

サプライズなんて意味がわからないし、粋な仕草もできない。

 

感謝の気持ちはあるけれど。

表現方法がわからない。

私はどこまでも凡人で、あなたとは決定的に違う。

 

私が与えられるものはただひとつ。

 

私の時間をあなたに差し出す。

 

私はどこまでも凡人だけど。

私はなにも持っていないけれど。

時間だけは持っているの。

 

私の時間を差し上げる。

だから、もう少しだけ待っていて。

恩は必ず返すから。

 

恩返しの形を考えさせて。

私の時間の中で。

あなたの時間の中で。

 

時間だけが私の手持ち。

 

その時が来るまで楽しみにしていて。

 

あなたの時間に私の時間を組み込んで。

 

私の時間を差し上げる。

 

それが私の今できる、ただひとつの恩返し。