一度も負けられない戦い。
シノブには誰にも言えないことがある。
どんなに仲の良い友人にも家族にも。
誰かと言わない約束をしたわけではない。
シノブが自分で決めたことだ。
ぼくはヒーロー。
シノブはそう思って、いつも戦っている。
殴りたい。
蹴りたい。
壊したい。
罵りたい。
犯したい。
跪かせたい。
滅したい。
ありとあらゆる悪と、日々戦っている。
戦いはいつもギリギリ。
それでもシノブは勝っている。
傷をいくつも負いながら、まだシノブは負け知らず。
シノブは誰にもそのことを誰にも言わない。
誰にも言えない。
ヒーローだから。
それはきっと特別なことではないと、シノブは思っている。
誰もが必死に戦っていることを、シノブは知っている。
シノブはヒーロー。
誰かを守るため。
自分を守るため。
世界はきちんときれいに回らなくては。
まわりの平和を保つため。
シノブはいつだって戦っている。
シノブの中の悪と戦っている。
シノブはヒーロー。
いつだって悪に勝っている。
いつだって、ギリギリで。
ヒーローが負けるわけにはいかないから。