雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

荷ほどきの後の片づけは大変。

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目の前にトラックがいる。

大きなコンテナを乗せて。

厳重に鍵が掛けられている。

 

何が入っているの?

 

きらりと光る荷台に目を向けて細める。

 

誰のところへ行くの?

所々くたびれた荷台に口をほころばせる。

 

またトラックがやってきた。

さっきのトラックより少し小さい。

むき出しの荷台はすでに空っぽ。

 

どこへ持って行ったのか。

誰に届けたのか。

 

私には関係ないようで、回りまわって関係あるのかもしれない。

 

錆びついた荷台には何を乗せていたのだろうか。

 

もう一台車がやってきた。

真っ黒な軽自動車のバン。

ガラスもナンバープレートも真っ黒。

 

ガラスの向こうの後部座席には荷物がいっぱい。

パンパンに詰め込まれている。

うしろが見えない程に。

 

あなたは歩道の端を歩く。

私はあなたの後ろ姿を見つめる。

 

誰のために。

私のために。

 

 

あなたは何を抱えているの?

どんな荷物を持っているの?

 

私は知りたいのに。

あなたが何を抱えているのか。

 

あなたは自分から言わないから。

聞いても言わないから。

 

散りばめられたヒントを辿っても、中身は見えない。

推測や想像をすることはできるけど。

それが正解なのかどうなのかは、わからないまま。

 

荷物をほどいて開けてみないとわからない。

 

ねえ。

 

その荷物は誰に届けるの?

何が入っているの?

 

私のため?

それとも。

 

早く荷物をほどいて見せてみて。

 

何が入っていても驚かないから。

 

ひとりで抱え込まないで。

少しは手伝えるから。

 

荷物を降ろすのも、ほどくのも。

少しは私も手伝えるから。

 

荷ほどきした後の片づけは大変。

でも大丈夫。

 

それも私が手伝うから。