足元見て歩いても目的地には着く。
いつも何かを探している。
何を探しているのかは、わからない。
ポケットの中やバッグの中にないのはわかっているのに。
引き出しにもクローゼットにも。
いつも、もしかしたら、って探している。
探してばかりで、足元ばかり見ていたら。
ちゃんと前見て歩かないと、って怒られる。
危ないから、って怒られる。
前を見ていても、結局、危ないのはわかっているくせに。
上を見過ぎても下を見過ぎても危ないと言われる。
だから前を見て、と。
後ろなんかもってのほか。
前しか見ちゃいけないから、きっといろんなものを探してしまう。
何を探しているのかはわからないけど。
探しているものが前にあるとは限らない。
どこにあるのかわかっていたら、こんなに探すことはない。
だから、いろんな方を見て探す。
上だって後ろだって、下だって。
町に出れば、私が持っていないものを持っている人がたくさんいる。
こんなにたくさん人がいるから、探すのもひと苦労。
探してばかりだと疲れるから。
前だけ見ているわけにはいかない。
疲れちゃうから、下も見る。
危ないっていつも言われるけど。
こっちが下を向いていれば、向こうが勝手に避けてくれるから大丈夫。
そんな時、探していたものが見つかった気がする。
こんな私をわざわざ避けてくれる人を見つけたら。
私のためではないかもしれないけど、自分のためかもしれないけど。
結局は私のためになっている。
ほら、見てごらん。
足元に桜の花びらがいっぱい。
そろそろ次の季節がやってくる。
下を見ても、何か見つかる。
探しているものなのかどうなのか。
それは私にもわからないけど。