寝て起きるはすべての基本。
今日は何もなかったな、と思う日がある。
昼まで寝て、起きて飯食って。
もう一度寝て、起きたら陽が沈むころで。
風呂入ってだるいからだを温めて、また飯を食う。
テレビ観ながらビール飲んで、ハハッ、と笑ってみる。
そういえば今日はじめて声を発したな、なんて。
それから映画観て、本読んでいたらもう寝る時間。
今日はたくさん寝たからなかなか眠れないかな、と思っていたら、案外すぐに睡魔が襲ってくる。
「ああ、今日は何もなかったな」と、思う。
「ああ、今日は何もしなかったな」と、思う。
まぶたの重みを感じながら、思う。
それでも、いつか、今日という日を思い出す日がやってくるのだろう。
何で思い出すのかは、わからない。
そのときにならなければ、わからない。
人が何かを思い出すときって、何の脈絡もないこともあるから。
あんなに寝れて幸せだったな。
さすがに寝すぎたな。
あんなにグタグタしてもったいなかったな。
テレビ観てるときにはじめて声を出したな。
あのとき読んだ本はおもしろかったな。
あのとき観た映画は感動したな。
もう一度あんなに眠りたいな。
良いことだろうが、そうじゃなかろうが。
思い出さない日なんて、きっとないんだ。
何もない日なんてない。
何でもなかったようなことを今でも思い出す。
そのときは、思い出すなんて思っていなかったのに。
何もない日なんてない。
このまま目を閉じ、開けばまた明日がやってくる。
明日は何があって、何を思うのだろう。
目を閉じて開くだけですら、思い出す。
何もない日なんてないから。