雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

貫く、磨く、打ち砕かれる。

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どんな物事も貫けるように。

そのために磨く。

 

風に飛ばされないよう、地面にしっかり突き刺さるように。

水に流されないよう、岩にしっかり突き刺さるように。

 

しっかり踏みとどまれるように。

どんなに硬いものにも。

そして、どんなに柔らかいものにも。

 

貫くために磨く。

 

磨いて磨かれないものなんてないんだ。

自分にそう言い聞かせる。

 

どこにいてもわかるように磨く。

すぐに壊れないように磨く。

 

なのに。

君の言葉は簡単に私を貫く。

君の視線が簡単に私を貫く。

 

どれだけ磨いたつもりでいても。

君の姿は映らない。

濁ってシルエットすら映らない。

 

貫くために磨いたのに。

私の思いを貫くために。

 

君はそれをいとも簡単に鈍らせ打ち砕く。

粉々に打ち砕く。

 

欠片を集めてつなぎ合わせても。

そのたび形は変わっていく。

 

次こそは、と再び磨く。

磨いて磨かれないものなどない、と言い聞かせながら。

 

私の思いを貫くために。

君の姿を映すために。