老婆心だなんてうまいこと言うね。
上るのは大変なのに、下るのはすぐ。
気づいてる?
下ることを。
楽だと思っているでしょ?
楽しいと思っているでしょ?
上ることを大変だと思わない体力と精神力。
うらやましいよ。
ギリギリまでなんとも思わない。
飽きるまでやり続ける。
君はまだ知らないんだ。
その内、知ることになるのだろうけど。
そんな、おせっかい。
君には必要ないか。
限界まで来たら勝手に気づく。
下るのなんて、ほんの一瞬。
痛いくらいに、わかるようになる。
口で言ってもしょうがないよね。
自分で感じることが一番。
今が楽しければそれでいい。
なにも知らなくていい。
誰かに言われるよりも。
自分で気づいた方が、きっといい。
私も気づいたよ。
君のおかげで、気づいたよ。
ここから上って、下る。
苦労して上っても、下るときは一瞬。
それでも。
下ったとしても。
元にいた高さに戻っただけ。
上る前にいたところと同じ高さ。
立ち位置だけがズレているだけ。
下ったわけではない。
元に戻っただけ。
苦労したぶん、損した気分になるだけ。
また上ればいいだけ。
すべり台を何度も上り下りする君に教えられた。
君は苦労だとは思っていない。
下るために上ることを、苦労だとは思っていない。
下ることを恐れて上ることを恐れる私とは、根本が違う。
ああ、やっぱり君には。
私の戯れ言なんて。
私の思いなんて。
ただのおせっかいだったようだ。