雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

汗かくことを嫌って忘れて。

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めっきり寒くなった。

 

特に朝。

ほんの少し前までぬるかった顔を洗うための水道水が、やたらと冷たくて痛い。

 

服を着替える。

一枚余計に羽織る。

 

寒いのは嫌だけど汗はかきたくないから、いつでも脱げるものをチョイス。

 

なんだか卑怯ね。

 

違うよ。

賢くなったと言ってちょうだい。

 

めっきり上手くなった。

 

歳を重ねるたびに。

表情を作ることが。

いつだって。

状況に合わせて、いつだって。

 

素顔は見せない。

心を許した人にしか。

 

その場を乗り切るがための笑顔。

こっちを見てほしいがための悲し顔。

逃げ出したいがための怒り顔。

 

素顔の上に、一枚余計に羽織る。

汗をかきたくないから、いつでも脱げるものを。

本当の顔はフィルター超しに。

 

なんだか卑怯ね。

違うよ。

賢くなったと言ってちょうだい。

 

暑くも寒くもなく。

温度もなにかも調節していく。

 

一枚余計に。

すぐ脱げるように。

 

素顔で寝て起きたら、もう寒い。

すぐに一枚、羽織らないと。

汗はかきたくないから、すぐに脱げるものを。

 

いつしか心許した人にだって。

素顔の上に一枚羽織ってしまう。

 

こんなに寒がりになったのも。

いつしか何枚も羽織るようになったから?

 

重たいよ。

動きづらいよ。

 

脱いで。

着て。

脱いで。

剥いで。

 

寒がりなくせに。

汗はかきたくないなんて。

 

どれだけ面倒くさいのだろう。